眼の老化は年齢を重ねるごとにほぼ確実に進行する老化現象のひとつです。
この眼の老化の代表的な症状は「老眼」ですね。
新聞を読んでいるおいじいちゃんが、新聞を読む際に顎を引いてやや反り返るような状態で新聞から眼を離して読んでいる場面を見かけたことがある方は多いのではないでしょうか?
これは老眼の独特の行動のひとつですが、老眼になると近くにあるものほど見えにくくなるという特徴がある為です。
一般的に広く知られている老眼は医学的な正式名称では「老視(ろうし)」と呼ばれます。
ここでは老眼としてご紹介していきますが、この老眼は加齢にともなって徐々に眼球内のレンズの働きを持つ「水晶体」と呼ばれる組織の弾力性が低下していくことがひとつの要因となっております。
私たちの眼は遠くを見る時と近くを見る時にこの水晶体レンズを調整しカメラ撮影で言えば「ピント」を合わせる作業を無意識の内に行なっております。
しかし、このピントの調整は水晶体の弾力性の低下に伴ってピントが合わせずらくなってしまい近くの物へ焦点を合わせることが困難になってきます。
高齢者の方が目の前の書類や本などに眼を通す際に、顔を少し引いて見ているのは、近くであるほど焦点が合わせられない状態になっている為に本を遠ざけたり顔を引いたりしているのですね。
老眼に限らず物が見えにくい、もしくは濁って見えるなどの症状も加齢にともなって症状が進行していきます。
このように視界がやや薄白く濁って見えはじめてきた場合は「白内障」と呼ばれる病気を発症し始めている可能性が検討されます。
40代を過ぎると徐々に見ているものが濁って見えてきたり、近くのものが見えにくくなるなどの症状を体感するようになるのは、前述した「老眼」や「白内障」などの眼の病気が原因となって物が見えにくくなっている可能性が高いと言えるのです。
尚、眼の老化は誰にでも進行する可能性がありますが、老眼と同等の症状を発症するケースは30代など若い年代でも症状を発症するケースが確認されており、高齢者にしか発症しない眼の疾患という訳ではありません。
白内障に関しては進行性の疾患であり80代を過ぎるとほぼ9割近くが白内障を発症し始めているという統計データもあり、完全な老化予防対策が難しいほぼ誰もが発症する可能性が高い眼の病気であると言えるでしょう。
★ピントを合わせる水晶体レンズの硬化
眼の老化現象がはじまるきっかけとなる原因について見ていきましょう。
眼の老化をもたらす症状の代表は前項でも解説した通りやはり老眼、そして白内障です。
老眼の発症原因は眼球の組織のひとつである「虹彩(こうさい)」と呼ばれる組織のやや後ろ側に位置し「毛様体(もうようたい)」と呼ばれる繊維組織に繋がっている水晶体が加齢に伴って柔軟性を失い徐々に硬化していくことが原因にあります。
水晶体は眼のレンズ部分にあたる組織で、対象となる物体にピントをあわせる働きをもっている眼球のレンズです。
このレンズが固くなるとピントの調節能力が低下し、近くから遠くを見る、遠くから近くを見るなど距離を変化させると一定時間景色がぼやけて見えるようになります。
この症状はまさしくピントを調節する水晶体機能の低下が原因となってピントが合うまでの時間がぼやけて見えていることになります。
尚、目がピント調節を行う際には水晶体のレンズの厚さを調整しますが、この水晶体のレンズ調整を行なっているのが前述した毛様体と呼ばれる組織です。
毛様体は毛様体筋と呼ばれる細い筋肉で水晶体の調節を行っております。
また物が白く濁って見える症状をもたらす原因である白内障に関しては、加齢に伴ってほぼ確実に進行していく眼の病気であり、眼の老化を体感的に感じる最大の要因のひとつでもあります。
80代を過ぎると10人中8人から9人は白内障を発症していると言われており、60代を過ぎると白内障を発症する確率が極端に高くなる傾向が確認されております。
尚、白内障の症状は徐々に進行していく傾向がある為、初期症状の発症は50代で実に50%程度の人が発症し始めていることも明らかになってきております。
こうしてみると白内障はまさしく加齢が引き金となる眼の老化現象の代表格と言えるかもしれません。
眼の老化現象に伴って発症する疾患には老眼や老人性白内障の他にも、加齢黄斑変性症(かれいおうはんへんせいしょう)と呼ばれる目の病気があります。
加齢黄斑変性症はその名称からも解る通り、加齢が原因となって発症する目の病気で、視野の中心部分がぼんやりと濁って見えたり、時には中心部分が全く見えないような症状をもたらす眼の疾患です。
加齢黄斑変性症の発症原因はいくつかの要素が検討されておりますが、最も影響を及ぼす原因としては紫外線の影響が関与していると考えられております。
紫外線と言えば肌や皮膚組織の老化のもたらす原因物質の代表格とも言えますが、体の表面を覆っている皮膚組織同様、眼球も空気に直接触れている部分でもある為、やはり紫外線を直接受けてしまう組織であることに変わりありません。
眼球内の網膜組織は大量の酸素消費が行われる器官でもあるため、大量の紫外線を受けると活性酸素が発生し酸化ストレスによって網膜組織が老化し加齢黄斑変性症を発症する原因となります。
★アントシアニンの補充
眼の老化の予防対策として注目を集めている対策法として「栄養面からのケア」が近年注目を集めるようになってきております。
老眼の進行は、水晶体レンズの硬化などで発症しますが、基本的には症状の進行に伴って眼鏡を作り替えていく方法が主流でした。
もちろん眼の老化はある程度仕方ない部分もあり、安全面の考慮も踏まえて進行に合わせて眼鏡を作ることは大切です。
しかし、もう少し積極的に対応する方法としてサプリメントなどによって物をしっかり見れるように働きかける栄養面からのケアが注目を集めるようになってきたのです。
中でもアンチエイジングの基本とも言える抗酸化作用をもたらすポリフェノールの一種である「アントシアニン」と呼ばれる成分は、対象物が見えやすくなる働きをもつ成分として注目を集めるようになってきております。
眼球内にはロドプシンと呼ばれる光センサーがありますが、このロドプシンは使用されるとアントシアニンによって再合成されます。
しかしアントシアニンは加齢にともなって徐々に不足するため、その成分をサプリメントなどで補うという考えです。
アントシアニンを摂取して「見えやすくなった」と感じる理由は、栄養分の補充によってロドプシンの再合成が活発になり本来見えているはずの視覚レベルに回復しただけのことなのです。
ですから実際には視力がアップしたわけではなく、「見えるようになった」と感じるのは正常な視力状態に戻ったということになります。
【アントシアニンの効能の誤解】
アントシアニンは視力をアップさせると思われがちですが、光センサーの働きを持つロドプシンの再合成を行う際に必要な成分を補充することによって正常な視力に戻るという見解が正しい解釈であると言えます。
尚、アントシアニンを多く含む食品にはビルベリーやブルーベリー、そして赤ワインなどが有名です。
また近年ではビルベリーを超えるアントシアニン含有量を誇るアサイーに注目が集まっております。
紫外線の影響によって網膜の老化をもたらす加齢黄斑変性症の予防対策としては、サプリメントの他に眼球に直接紫外線を浴びさせない予防対策も必要となります。
紫外線から眼球を保護する為には、誰もがご存知のサングラスの使用が有効です。
出勤時はもちろん休日出会っても毎回サングラスをかけて外出をすることは一般常識的にも難しいものがあります。
ですから、紫外線が特に強いとされる日などに紫外線を防止するUV加工が施されたサングラスを使用すると良いでしょう。
加齢黄斑変性症は最も大切な視覚の中心部分の視界に影響が現れる眼の病気でもあるため、長期的な思考で眼の老化対策を検討していく心構えが大切になります。